フリースクールの費用はどれくらい?学費相場や学校種類別の料金の違いを解説!
不登校やさまざまな理由で従来の学校環境と合わないという子供たちにとって、フリースクールは大切な学びの場となっています。
しかし、フリースクールへの入学を検討する際には、学費やその他の費用が気になるところでしょう。
本記事では、フリースクールの費用相場や、学校の種類別にかかる料金の違いについて詳しく解説します。
また、補助金制度や子供の特性ごとに適したフリースクールの選び方についても触れ、保護者の方々が安心して学校選びができるようサポートします。
お子さんをフリースクールに通わせたいと考えているものの、費用の面で迷われている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
フリースクールとは
フリースクールとは、従来の教育システムに馴染めない、あるいは特定の理由を持つ子どもたちに向けた教育の代替施設です。
国や地域によって多少の違いはありますが、一般的に公式の学校制度に縛られない自由なカリキュラムを提供しています。
フリースクールは、生徒の自己表現を尊重し、個々の興味や学習ペースに合わせた教育を行うことで、それぞれの可能性を最大限に引き出すことを目指します。
また、社会的スキルの向上や自信の構築にもフォーカスし、学校外の活動やプロジェクトにも積極的に取り組んでいる学校が多いです。
そのため、フリースクールは多くの生徒にとって学び直しの場、または新しいスタートの場となっています。
フリースクールの定義や、学校タイプについて詳しく知りたい方は以下の記事も併せてご覧ください。
関連記事:フリースクールとはなにか?定義や多様な学校タイプを解説!
フリースクールの費用相場
文部科学省の調査によると、フリースクールの月額授業料の平均額は約3万3千円、入学金の平均は約5万3千円と言われています。
しかし、フリースクールの費用は、地域や提供されるプログラムの種類など、学校によって大きく異なります。
一般的に、フリースクールに通う際に発生する費用の内訳は以下の通りです。
- 入学金:約1万円〜約5万円
- 授業料:約3万円/月
- 教材費:適宜 or 授業料に含まれている
- 施設利用料(施設維持費):0円〜約3万円/月
- 課外活動費:適宜
- NPO会員費:0円〜3万円
- 相談料:適宜
また、全寮制のフリースクールでは、生徒は寮で共同生活をするため、施設利用料には光熱費や管理費、食費などが含まれ、全寮制でないスクールに比べて高額になります。
料金システムについては学校ごとにさまざまで、コースごとに費用が定められている場合や、月額制で、課外活動や相談が発生するごとに追加のオプション費用が発生するケースもあります。
例えば、教材費であれば、授業料にすべて含まれているパターン、教材の購入が必要になったタイミングで都度徴収するパターンなどがあります。
状況に応じて追加費用が発生することも珍しくないので、月々の学費に加えて、年間を通じて発生するその他の費用に備えて多めに見積もっておくのが良いでしょう。
ちなみに、参考までに公立中学校の学費は無償、私立中学校の月額平均学費は5万円です。
私立中学に比べると月額授業料の平均はフリースクールの方が低いですが、私立には私学助成金がある一方で、フリースクールは学校教育法で認められた学校ではないため、奨学金のような制度はありません。
フリースクールの種類別の費用
フリースクールの費用は、学校の種類によっても異なります。
ここでは、代表的な3つのフリースクールの種類ごとの費用相場や各学校の特徴について解説します。
まず、フリースクールの種類別の費用相場は以下の通りです。
フリースクールの種類 | 費用相場(年間) | 特徴 |
居場所提供型スクール(全寮制の場合) | 30万円〜50万円
(150〜400万円) |
学校に通えない子供たちが安全で安心できる場所を提供し、自由な時間の中で自分のペースで過ごせる。 |
デモクラティックスクール | 50万円〜100万円 | 子供たちが学ぶ内容や方法を自主的に決定できる教育方針を持ち、民主的な運営が特徴。 |
ホームスクール | 10万円〜50万円 | 自宅で親や家庭教師が指導する形式で、カリキュラムやスケジュールは家庭ごとにカスタマイズ可能。 |
学校や地域などによっても金額は異なるので、詳細な情報は、必ず学校ごとのホームページや資料をご確認ください。
居場所提供型スクール
居場所提供型スクールは、学校に通うことが難しい子供たちに安全で安心できる居場所を提供することを目的としています。
学習だけでなく、休憩やリラックス、ゲームなどをできるスペースもあり、子供たちがストレスを感じずに過ごせるよう配慮されています。
費用の相場は年間30万円から50万円程度で、フレキシブルな利用が可能です。
全寮制の場合、光熱費や食費などが学費に含まれる場合があり、150〜400万円程度が相場となります。
デモクラティックスクール
デモクラティックスクールは、子供たちが学ぶ内容や方法を自主的に決定できる教育方針を持っています。
学校の運営にも子供たちが積極的に参加し、民主的な意思決定プロセスを学ぶことができます。
自主性や責任感を育むことができる環境で、個々の興味や関心に応じた学びが可能です。
費用は年間50万円から100万円程度と幅があり、学習プログラムやサポート内容など、学校によって金額に大きな差があります。
ホームスクール
ホームスクール(ホームスクーリング)は、自宅で親や家庭教師などが指導する形式の教育です。
カリキュラムやスケジュールは家庭ごとにカスタマイズできるため、子供の学習ペースや興味に応じた柔軟な教育が可能です。
外部の教材やオンライン学習を利用することも多く、費用は年間10万円から50万円程度と比較的低コストで始めることができます。
また、親が指導する場合、親子の関係を深めながら学ぶことができる点も特徴です。
フリースクールの費用に対する補助金はある?
フリースクールは、公的な教育機関ではないため、子供たちの教育費用に対して公的な補助金が提供されるケースは一般的ではありませんが、一部の地域では特定の条件下で支援が行われています。
例えば、東京都では、2023年1月から「不登校児童・生徒支援調査研究事業への調査研究協力金」という新たな支援策が導入されました。
対象となる生徒一人あたり年間最大24万円が支給され、この金額はフリースクールでの学習に直接的に利用されることを意図しています。
ただし、この補助金を受けるためにはいくつかの条件があり、対象生徒が特定の基準を満たしている必要があり、すべての生徒が受け取れるわけではありません。
この制度は東京都のみで、全国的に一律に適用されるわけではないため、自分の住む地域の教育委員会や市町村に補助金の情報を確認してみてください。
しかし、基本的には公的補助金が支給されることは稀なので、費用は自己負担だと考えておきましょう。
子供に合わせたフリースクールの選び方
フリースクールには、学校への復帰を支援する学校、共同生活をするタイプのスクールなど、さまざまな種類があります。
従来の学校と異なりカリキュラムや教育体制が学校ごとに大きく異なるため、お子さんの性格や事情に合わせて、適切なフリースクールを選ぶことが大変重要です。
ここでは、お子さんに合わせたフリースクールの選び方として、以下の7つの観点を紹介します。
- 子供が安心して通い続けられるか
- 子供にとって通いやすい場所か
- 子供の状況に合わせた個別の相談やフォローを提供してくれるか
- 在籍する学校との連携がスムーズに行えるか
- 自宅での学習をサポートしてくれるか
- 子供の心に寄り添ってくれるスタッフがいるか
- 子供にとってリラックスして過ごせる場所か
学校を比較する際の軸選びに参考にしてみてください。
子供が安心して通い続けられるか
子供が安心して通い続けられるかどうかは、フリースクールを選ぶ上で非常に重要なポイントです。
まず、学校の雰囲気やスタッフの対応を確認しましょう。
フリースクールは、子供一人ひとりの個性やニーズに合わせたサポートを提供することを重視していますが、実際に見学や体験入学を通じて、子供自身がその環境に馴染めるかを確かめることが大切です。
また、スタッフの質や子供への寄り添い方も重要な要素です。
教育者としての経験や知識だけでなく、子供の心に寄り添う姿勢があるかなど、スタッフと子供の相性もチェックすると良いでしょう。
子供が困ったときや不安を感じたときに、すぐに相談できる信頼できる大人がいることは、子供の安心感を高めます。
さらに、学習環境や授業内容が子供の興味や関心に合っているかどうかも、安心して通い続けられるかに大きく影響します。
フリースクールでは、個別の学習プランや自由なカリキュラムが用意されていることが多いため、子供が自分のペースで学べる環境が整っているかを確認しましょう。
最後に、他の生徒との関係性も見逃せないポイントです。
子供が友達を作りやすい雰囲気や、安心して交流できる場が提供されているかをチェックすることも大切です。
これらの要素を総合的に考慮し、子供が安心して通い続けられるフリースクールを選ぶことで、お子さんが伸び伸びと学び、成長しやすくなるでしょう。
子供にとって通いやすい場所か
フリースクールの立地やアクセスの便利さも、通いやすさを左右する重要な要素です。
子供が通学する上で、学校までの距離や交通手段の利便性は、学校生活を継続できるかどうかに直接影響を与えます。
学校の場所が自宅から近いほど、通学にかかる時間や労力が少なくなり、学校への通いやすさが向上します。
特に小さな子供や初めての通学となる場合、長時間の移動は負担になり得るため、自宅から遠すぎない範囲内にある学校を選ぶことがおすすめです。
また、公共交通機関を利用する場合には、アクセスの良さも考慮する必要があります。
バスや電車の路線が学校に近く、頻繁に運行しているかどうかがポイントです。
フリースクールの中には送迎をしてもらえる学校もあるので、登下校が心配な場合は、そういったサービスのある学校を選ぶのも一つの手です。
ただし、立地を最も重要な条件として位置付けると学校選びに失敗しやすいので、最終的には立地以外の条件もトータル的に踏まえた上で、子供に合った学校を選ぶことが大切です。
子供の状況に合わせた個別の相談やフォローを提供してくれるか
子供の状況に合わせた個別の相談やフォローを提供してくれるかどうかも、フリースクールを選ぶ上で欠かせないポイントです。
まず、フリースクールがどのようなサポート体制を整えているか、個別の学習プランを提供しているかどうかを確認することが重要です。
例えば、子供の得意分野や苦手分野に応じたカリキュラムを作成し、それに基づいて授業を進めるタイプのフリースクールであれば、子供が自分のペースで学ぶことができます。
特に不登校からフリースクールに通う場合は、定期的なカウンセリングや面談を通じて、子供の学習進度や精神状態を把握し、適切なアドバイスやサポートを行ってくれるような学校を選ぶのが良いでしょう。
加えて、フリースクールが保護者との連携を重視しているかどうかも、学校選びの際にはみておいた方が良い項目です。
子供の状況について定期的に報告し、保護者と共に問題解決に向けた対策を考える姿勢がある学校は、安心して子供を任せることができるでしょう。
特に、子供が不登校や特別な支援を必要としている場合、その状況に応じた柔軟な対応が求められるので、学校のサポート体制が十分に整っていることはマストの条件となります。。
在籍する学校との連携がスムーズに行えるか
フリースクールに通う生徒が従来の学校にも籍を置いている場合、両方の教育機関間での情報共有と協力が必須となります。
スムーズな連携が図れていることで、生徒の教育の一貫性を保ち、学習の進捗や個々のニーズに合わせたサポートを効果的に行うことが可能になります。
フリースクールと在籍学校との良好な連携には、定期的な情報交換が欠かせません。
例えば、フリースクールのスタッフが定期的に在籍学校の教師やカウンセラーとミーティングを行い、生徒の学習状況や心理的な健康状態、社会的な適応状況について報告し、相談することが理想的です。
また、フリースクールでの学びが在籍学校でのカリキュラムや学習目標と整合性を持つよう、両機関が連携して教育計画を策定し、実施することが望ましいです。
このように、在籍する学校との連携のための体制が整っているかどうかについては、フリースクールを比較検討する際に十分に確認しておきましょう。
自宅での学習をサポートしてくれるか
通学が難しい場合や、家庭での学習時間を有効に活用したい場合には、自宅での学習をサポートするような体制が整っているかも確認した方が良い要素です。
例えば、一部のフリースクールではオンラインプラットフォームを活用することで、子供たちが自宅でも、自分のペースで学習を進めることができるようになっています。
さらに、個別の学習プランを提供し、その進捗を定期的にチェックしてくれる体制があると、自宅学習の効果が高まるでしょう。
例えば、オンラインの学習プラットフォームに加え、毎週の進捗報告やオンライン面談などがあると、子供たちが学習のモチベーションを維持しやすくなります。
また、学習に関する疑問や課題が生じた場合に、すぐに相談できるサポート体制があるかどうかも確認しておきましょう。
メールやチャット、面談などを通じて、教師やスタッフと直接コミュニケーションを取れる環境が整っていることが望ましいです。
このような体制が整っていることで、学習の途中でつまずいた時にも、適切なアドバイスや解決策を得ることができます。
これらのポイントを考慮し、自宅での学習サポートが充実しているフリースクールを選ぶことで、子供が安心して学びを続けられる環境を整えられます。
子供の心に寄り添ってくれるスタッフがいるか
子供が安心して学び、成長するためには、心のケアが欠かせません。
そのため、スタッフの質や対応力が重要な要素となります。
まず、フリースクールのスタッフが子供たちとの信頼関係を築けるかどうかを確認しましょう。
スタッフが子供一人ひとりの気持ちを尊重し、丁寧に話を聞いてくれる姿勢があるかを見極めるために、学校見学や体験入学を通じて直接話をしてみることが有効です。
また、スタッフの経験や資格も重要なポイントです。
教育やカウンセリングの専門知識を持ったスタッフがいることで、子供が心の問題に直面した時に適切なサポートを受けることができます。
特に、心理学や教育学の知識を持ったスタッフがいると、子供の心理状態を深く理解し、効果的にサポートしてくれるでしょう。
さらに、スタッフのコミュニケーション能力も大切です。
子供たちがリラックスして過ごせるような雰囲気を作り出し、日常的に声をかけてくれるスタッフがいることで、子供たちは安心感を持つことができます。
スタッフ同士の連携が良く、チームとして子供のサポートにあたる姿勢があると、より充実したサポートが期待できるでしょう。
子供にとってリラックスして過ごせる場所か
フリースクールの環境が心地よく、安心できるものであることは、子供の成長と学習意欲に大きな影響を与えます。
まず、フリースクールの物理的な環境を確認することが大切です。
教室や共用スペースが明るく清潔で、子供がリラックスできるような工夫がされているかをチェックしましょう。
快適な家具や温かみのあるインテリア、自由に使える休憩スペースなど、子供が安心して過ごせる空間が整っていることが理想的です。
また、学校全体の雰囲気も大切です。
スタッフや他の生徒との関係が温かく、フレンドリーな雰囲気があるかどうかを見極めるためにも、学校見学や体験入学を行うことをおすすめします。
さらに、フリースクールの教育方針やカリキュラムも重要なポイントです。
自由な学びを尊重し、子供の興味や関心を引き出すプログラムが用意されているかを確認しましょう。
子供が自分のペースで学び、興味のある活動に取り組める環境が整っていることが、リラックスして過ごせるための基盤となります。
保護者としては、子供が実際に学校を訪れて感じた印象や、スタッフとのコミュニケーションを重視することが大切です。
子供自身が「ここなら安心して過ごせる」と感じられる場所を選ぶことで、学びの場としてのフリースクールがより効果的なものとなるでしょう。
まとめ:費用相場と子供に合わせた学校の選び方を理解しよう
本記事では、フリースクールの基本的な概念から費用相場、スクールの種類別の特徴や料金の違い、さらには学校選び方のポイントまでを詳しく解説しました。
最終的には、さまざまな要素を考慮して、子供の個性やニーズに応じた柔軟な学びの場となるフリースクールを選ぶことが大変重要です。
保護者としては、子供にとって最適な学びの環境を見つけるために、実際に子供と一緒にフリースクールを訪れ、スタッフや学校の雰囲気を確認することが大切です。
最終的には、子供が心地よく、自信を持って学び続けられる場所を選ぶことが、健やかな成長と充実した学びをサポートする鍵となります。
本記事を参考に、お子さんにとってベストなフリースクールを探してみてください。
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(株)ツーベイス代表取締役
1995年、神奈川県横浜市生まれ。
教育分野で活躍する連続起業家。
【経歴】
シングルマザーの家庭で育つ。幼い頃から勉強に苦手意識を持ったまま定時制高校に進学するも、「自分を変えたい」との決意で勉強に励み、英語学習に注力。その成果として、高校在学中の1年間でTOEICスコア300点台から905点を達成した。
その後、自身で大学の学費や生活費・留学費などをまかなうために、日本学生支援機構の奨学金を借りて日本の大学に進学する。※20代で貸与奨学金にあたる無利子奨学金(第一種奨学金)を完済済み。
大学在学中には留学代理店事業を立ち上げ、フィリピン全土にある80校の語学学校や大学を視察し、留学希望者の英語力向上に尽力。そして2019年に株式会社ツーベイスを創業し、現在では教育関連事業を展開している。
【教育への情熱】
自身の経験から、教育が個々の可能性を引き出す力を強く信じる。フィリピン留学経験を通じて得た知識と洞察をもとに、留学エージェントとして活動し、累計数百人以上の留学希望者をサポートした。
現在は、フィリピン留学エージェントと個別英語コーチングを組み合わせた成果保証付きサービス「Palett(パレット)」を提供し、教育の領域で革新的なアプローチを実践している。
【保有資格】
人生を本気で変えたいと願う留学希望者の後押しになるため、行動心理学とメンタルヘルスに関する資格をⅡ種取得。これにより、英語学習者の学習意欲や目標達成をサポートする手法を提供している。
- メンタルヘルスマネジメントⅡ種、Ⅲ種
- 行動心理士
- TOEIC905
【出張授業】
2024年より、横浜にあるフリースクール等にてボランティアでの出張授業を行う。
<授業テーマ例>
・教育の力で底辺から這い上がれた話
・借金をしてまで大学に行く意義とは
・フリーランス兼起業家としての生き方
・発展途上国の現実と恵まれた日本の違い
・英語力を飛躍的に上げて世界で活躍する方法