レベニューシェアの相場はどれくらい?適正な利益配分でトラブルを回避しよう!
発注側/受注側が共同で事業を行い、あらかじめ設定した配分率に応じて収益を分配する「レベニューシェア」と呼ばれる契約形態を使用して新しくビジネスを進めていくケースが近年増えてきています。
主にIT業界を中心に広がりつつあり、最近ではライター業務などでも用いられつつある従来の固定型契約とは異なる方式の契約形態です。
しかし、まだレベニューシェアの有名事例はあまり多くなく、実際に活用をしたいと思っても、配分率の相場や、契約の結び方の注意点などがよく分からないという人も少なくないのではないでしょうか。
この記事では、レベニューシェアの相場や、レベニューシェアを成功させるためのポイント、そしてレベニューシェア契約によって起こりうる代表的なトラブルついて紹介していきます。
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レベニューシェアの相場はどれくらい?
結論から述べると、レベニューシェアにおいて一定の相場というものは存在しません。
実際にレベニューシェア契約を結ぶ事業者間、そして仕事内容や契約期間によっても費用が異なってくるので当然といえば当然と言えるでしょう。
レベニューシェアの相場の基本的な考え方としては、収益が契約締結時の想定の範囲内の場合は受注者側が一般的に外注費として請け負う際の金額よりも高額な報酬になることが一般的です。
従来型の契約形態の場合、受注側はノーリスクで、発注者側のみがリスクを背負いビジネスを展開することになりますが、レベニューシェア形態の場合は、リスクが双方に分散され、受注者側にもリスクが発生するためにこのような傾斜配分になります。
例えば、受注者側が開発費用を回収するまでの期間の配分比率を高めに設定する、という方法がIT業界ではよく行われます。ビジネスが順調に進み、売上が立ち、コストを回収した後は、配分比率が下がっていくといった仕組みです。
先に述べたように、受注者側は初期費用として受け取れる金額が少なく、一般的な契約形態よりもリスクが高く、負担も大きいためこのようなケースが取られることが多いです。
また、契約時には利益の分配比率だけでなく、業務範囲の役割分担を明確に両者で定めることも大変重要になります。
そもそも、仕事の配分が決まっていなければ、報酬の比率を設定することもできません。
同時に、必要経費の算出も配分率を設定する上では重要な項目です。
収益と経費のバランスが崩れてしまうと、売上が順調に伸びていっても、営業利益が発生しないという本末転倒な状況になりかねません。
レベニューシェア型の契約は、受注者側の方がパワーバランスが弱く、発注者側から無理な要望を押し付けられるというケースは少なくありません。
発注者側の視点からすると、報酬の配分率が契約上の決定から変動がなければ、受注者側にできるだけ多くの仕事をしてもらった方が得になるので、そのようになってしまうのも仕方がないとも言えます。
受注者側は特に報酬の配分比率、業務の役割分担、必要経費の算出などに注意しながら、過去事例に捉われすぎず、双方で納得がいくまで協議をして、トラブルのないように契約を結ぶようにしましょう。
レベニューシェア型契約でビジネスを成功させるには?
レベニューシェア型契約はすべてのビジネスに適しているわけではなく、適用するケースを見極めないと、多大なる損失を生み出してしまうリスクも高いです。
また、ビジネスを成功させるにあたって、発注側/受注側双方の協力関係が大変重要になってくる契約形態です。
レベニューシェア型契約によるビジネスを成功させるために必要な条件について見ていきましょう。
発注側/受注側間の良好な信頼関係を築く
レベニューシェア型契約は、発注側/受注側双方がリスクを負い、双方がビジネスの成功のために尽力する必要がある、いわば提携に近い協力型の契約形態です。
そのため、発注側/受注側で良好な信頼関係を構築する必要があります。
発注側のパワーバランスが強くなってしまいがちなので、受注側のリスクを減らし、ビジネスにおけるモチベーションを維持するためにも、契約内容には留意したいです。
また、自身が受注側となる場合は、発注側であるクライアントがそのビジネスにどれくらい本気なのかという点についてもしっかりと確認しておきたいです。
一般的に、レベニューシェア契約で結ばれた契約は、万が一事業がうまくいかなかった場合の発注側のリスクが従来の固定型の契約形態よりも低いです。
ローリスクで新規事業に踏み切ることができる分、ある程度の初期投資を覚悟して新規ビジネスを開拓しようとする場合に比べて、熱量が低いというケースも発生しうるでしょう。
発注側/受注側双方がビジネス成功のために必要な協力関係が結べていないと、特に受注側が損をしてしまうので、注意しましょう。
継続的な収益が見込めるビジネスモデルを選ぶ
レベニューシェアは利益配分を前提とした成果報酬型の契約形態なので、事業展開後に継続的な収益が見込めるかどうかというのは大変重要なポイントになります。
また、成果報酬型という特徴ゆえに、成果および売上を数字として算出しにくいビジネスはレベニューシェアには不向きと言えるでしょう。
例えば、人事や労務関連の事業など、利益を数値化しづらい分野については従来型の契約方式が良いです。
受注側は、契約を結ぶ前に短期、中期、長期的な展望など、発注側の事業計画について事前に入念に確認しておきましょう。
配分する「収益」の定義を明確に定める
レベニューシェアと似ている契約形態に「プロフィットシェア」と呼ばれるものがあります。
どちらも成果報酬型の契約という点では共通しているのですが、分配の対象となるものが異なります。
「レベニュー(revenue)」 は、「売上、収入」を意味する英単語です。
「プロフィット(profit)」は、「利益」を意味する英単語です。
revenue から支出(expense)を差し引いた残高が profitとなります。
つまり、レベニューシェアは事業で得た「売上」を分配するのに対し、プロフィットシェアは売上から諸経費を引いた「利益」を分配する契約を指します。
しかし、この収益の定義が発注側/受注側で異なっている場合や、混同されてしまうケースも少なくないので、契約を結ぶ際に明確に定めておきたいです。
また、レベニューシェア/プロフィットシェアどちらの契約を結ぶかによって、発注側/受注側のリスクが逆転します。
レベニューシェアの場合は、仮に事業が赤字になってしまった場合でも、契約で定めた配分比率に基づいて発注側は受注側に売上を分配しなくてはなりません。
一方で、プロフィットシェアの場合は、利益が出ていなければ、受注側に対しての支払いは発生しません。
つまり、発注側はプロフィットシェア、受注側はレベニューシェアの方がリスクが低くなります。
一般的に、受注側は配分比率を高くしてもらう、開発費用を多く負担してもらうなどして、リスクをできる限り均すことが多いです。
ビジネス形態や状況に応じてどちらの契約方式が適するかは異なってくるので、トラブルを避けるためにも契約の際に両者で話し合い、契約の中で明確に「収益」の定義を定めておきましょう。
レベニューシェア契約において発生しやすいトラブル
レベニューシェア型契約は、シチュエーションによって契約内容が多岐にわたるため、一般的なモデルケースに当てはめることが難しいという難点があります。
そのため、契約時に契約内容について確認を怠ってしまうと、後にトラブルに繋がってしまうことも残念ながら少なくありません。
特に受注側はレベニューシェア契約においてはリスクを負いやすい立場なので、頻繁に起きる代表的なトラブルについてはしっかりと知識をつけておきたいです。
発注側から早期に契約を解消され、受注側が十分な報酬を得られない
レベニューシェア型契約を結んだビジネスが成功した場合、発注側は従来の固定型の契約よりも、相対的に高額な報酬を受注側に支払う必要が出てきます。
そのため、発注側としてはある程度の売上が立った段階で、なるべく早く受注側との契約関係を解消することで、収益の取り分を多くしようと考えることは自然でしょう。
受注側はあまりにも早期に契約関係を打ち切られてしまうと、想定していたよりも十分な報酬が得られない恐れがあります。
このような事態を避けるためには、契約を結ぶ際に「成果物の権利の帰属」について明確に定めておくことを推奨します。
これについては、シーンに応じて様々な定め方がありますが、両社間で共有とする形、発注側/受注側のいずれかが保有する形の両方のパターンが考えられます。
受注側が契約関係の早期解消というリスクを回避するためには、著作権などの知的財産権を自社に残すという条件を契約時に明確に定義しておきたいです。
開発者である受注側に著作権を残す場合、契約終了後であっても、発注側は開発者の同意なく、当該成果物の使用および修正を行うことができないため、発注側が契約更新をせざるを得ない状況を作ることができるからです。
発注側の無理のある要望によって受注側の負担が過大になってしまう
レベニューシェア型の契約は、成果に対して報酬が支払われるため、作業量と報酬が連動していません。
そのため発注側が、開発者に対して機能追加や改善など、当初想定していなかった業務を新たに依頼した場合でも、それ自体に報酬が発生したり、開発費用を負担したりするわけではありません。
発注側としては、ビジネスを成功させる可能性を少しでも高めたいので、開発者からすると一見成果との関連性が低いと思われるような機能改善などを要求されることも考えられます。
そうすると、開発者である受注側としては開発コストおよび工数の負担が想定よりも大きくなってしまう恐れがあります。
こういったトラブルが起きないよう、あらかじめ請け負う範囲を明確に契約時に定めておくことが重要です。
発注側/受注側で責任の所在地を明確にしておくことで、ビジネス成功に向けて良好な関係を築くことができるでしょう。
単独での意思決定が難しく、スピード感が遅くなる
業務提携に近い協力関係を結ぶレベニューシェア型契約において、事業における意思決定のスピードが落ちてしまうというのはデメリットの1つです。
発注側/受注側双方の合意を得られなければ、ビジネスを進めていくことができないので、どうしても意思決定の速度が遅くなってしまいます。
リスクを分散する上で利便性ももちろんありますが、一方で時として素早い意思決定が求められるような場面においては、意思決定のスピードの遅さはトラブルの一因にもなりかねません。
こちらのリスクを避けるには、先にも述べたように業務の役割分担を明確に定めておくことが肝心です。
一方で、ビジネスが成功しなかった場合には、双方に大きな損失が生まれてしまうという背景を鑑みると、都度話し合いや協議によって意思決定をせざるをえない側面もあるので、完全に払拭するのは難しいデメリットでもあります。
プロジェクトが成功せず、発注側/受注側双方が共に十分な報酬が得られない
これは当然従来の固定型報酬の場合も然りですが、レベニューシェア型の契約では特にプロジェクトの成功と報酬の関係が密接に関わってくるため、発注側/受注側双方にとってビジネスの成功は重要な達成目標になります。
プロジェクトがうまくいかない原因としては、いろいろなファクターが考えられますが、代表的な理由として以下のようなものが挙げられるでしょう。
ビジネスモデルや事業計画自体に問題がある。
これはレベニューシェア型契約だけでなく、固定型報酬型の場合も同様ですが、そもそもビジネスモデルや、プロジェクトの計画自体に問題がある場合、当然ながらうまくいきません。
開発側は特に、発注側がかかげている計画に問題がないか吟味した上で契約を結びましょう。
発注者が当該プロジェクトの途中で意欲を失ってしまう。
発注側がプロジェクトの最中で成功に向けた意欲を失ってしまうと、仮に製作物が完成したとしても、適切な運用が行われないために十分な成果が得られないというケースも考えられます。
発注側は固定型報酬の場合よりも初期費用を抑えて比較的ローリスクで契約を結ぶことができるためにこのような事態が発生しえます。
ビジネスが失敗した場合に発注側/受注側双方が抱える損失が平等になるように契約を結ぶことで避けたいリスクです。
こういった原因で当該プロジェクトが失敗に終わり、結果として十分な報酬を得られない可能性があることがレベニューシェアにおける大きな問題のひとつと言えるでしょう。
レベニューシェア型契約では、発注側/受注側でメリット/デメリットがトレードオフの関係にあるので、双方が納得できるよう、両者が平等にリスクを負うような契約内容を設定することがトラブルを避けるために重要になってきます。
まとめ
レベニューシェア型契約は、従来の契約形式とは異なる成果型報酬の契約形態のため、初期投資のリスクが少なく、新規事業をスタートしやすいという点から、IT業界を中心に、その他のビジネスでも活用されるシーンがどんどん増えてきています。
一方で、注意して契約を結ばないと、大きな損失につながってしまうリスクもあるので、発注者/受注者側双方で入念に契約条件について確認を取りながら、良い協力関係を結ぶことがポイントとなります。
事業や状況に応じて契約内容を柔軟に設定することが重要となる契約形態なので、最終的にはモデルケースや、過去事例に捉われすぎず、両社間で協議を重ねて、双方にとって利のある取引を結ぶことが望ましいでしょう。
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